職場で世代間ギャップを感じるのはなぜ?上司世代と若手世代(Z世代)の価値観の違いについて説明!

「正しさ」と「正しさ」の対立

巷で「Z世代」または「ゆとり世代」と呼ばれるような20代の若手世代に対して「世代間ギャップ」を感じ、距離の取り方に悩む人が管理職を中心に増えています。

管理職に多い40、50代の中堅・ベテラン世代は「今は何か言おうものならすぐ『パワハラ』『モラハラ』と言われる」、「自分たちが若い時代は上司からどやされるのが当たり前だった」と悩んでいるのです。

若手世代の力になりたい、成長をサポートしたい、これまでの経験を伝えたい。それなのに、パワハラ、モラハラといわれたらどうしよう‥‥と、なかなか上手な距離感がつかめません。

しかし、自分のこれまでの成功体験や仕事スタイルを絶対的な「正しさ」と勘違いし、「最近の若手世代はわかっていない」と一方的に押し付けていては、ギャップが広がり、大きな壁が生じてしまします。

私たち1人ひとりの価値観には「正しい・正しくない」もありません。しかし、自分主体で相手をみてしまうがために、異なる世代の価値観に「あれは違う」と意味付けをし、歩み寄ろうしない状況が生まれてしまいます。

それぞれの「価値観の違い」が、「あの人はわかっていない」と不満やストレスを生じさせているのです。でも、お互いの価値観を主張しているばかりでは、平行線は永遠に交わらないでしょう。

ではどうすれば世代間ギャップを縮めることができるのでしょうか?答えは1つです。ベテラン世代が「若手世代の理解者」となり、変わることです。

「なぜ私が変わらなくちゃいけないんだ」と思う方もいるかもしれません。しかし、自分が変わるより、相手を変えるほうがはるかに難しいと思いませんか?

ですので、気づいている自分が変わればいいのです。自分を変えられるのはそれだけ柔軟な証拠です。

世代間ギャップを感じる社会環境の変化

「世代間ギャップ」という言葉は以前からありますし、今にはじまったことではありません。それがなぜ、近年、世代間ギャップが強く意識されるようになったのでしょうか?

それには時代をとりまく社会環境の変化について理解が必要です。それは大きく次の4つに整理することができます。

①「情報技術」の変化
デジタルコミュニケーションの急速な進化
■SNSが社会インフラに定着
■コミュニケーションのスピード向上
■情報共有し、どこでも仕事ができる時代
②「人口構造」の変化
少子化による人口ピラミッドの変化
■人口構造が若手世代が少ない「逆ピラミッド」に変化
■企業が人材から「選ばれる」時代に
③「キャリア」の変化
ロールモデルの喪失
■30年経済は低迷したまま
■「安定した会社に定年まで」が幻想に
④「文化・価値観」の変化
「多様性」が時代のキーワード
■社会的に「多様性」が重視されるようになった。
■若手世代ほど多様性に関心を持ちつつある

世代間ギャップの正体

①情報伝達手段の変化

ベテラン世代が働きだした時代は電話やFAXが主流です。また、社内の情報伝達は、紙をまわして印鑑で確認していました。ベテラン世代が今なお、対面や電話、紙面を重んじているのも、この時代の名残が強いためです。

最近ではビジネスチャットやグループウェアなど、情報伝達の手段が大きく進化し、コミュニケーションの速度が格段に上がりました。「誰からの連絡なのか」が一目瞭然ですし、返信のタイミングはこちらが決めることができます。

チャットでの連絡や、アプリでの通話など、特定の相手とコミュニケーションすることが日常的な若手世代の中には、不特定多数がかけてくる固定電話は「苦手」という声もあります。

このように昭和と令和とでは、脳の中に搭載している「OS」が違うくらい、組織における情報伝達の手段に「ギャップ」があるのです。

②マネジメント構造の変化

かつての日本社会はベテラン世代が少なく、若い世代が多いピラミッド構造でした。情報伝達手段がアナログだったこともり、「重要な情報はピラミッドの上層部であるトップが掌握」、「情報の流れは上から下へと一方通行」、「管理職がハブとなって、一般社員へと伝達」、「下の情報は、『報連相』によって上司が把握、判断」といったピラミッド型のマネジメントスタイルが主流でした。

一方で、現在は若手世代が少ない「逆ピラミッド」の人口構造です。全社員に一斉に情報を発信し、共有できるようになった今、伝言ゲームをする必要はなくなりました。また、誰かが情報を掌握しているよりも、仕事の成果やプロセスを含めて、できるだけ情報共有するほうが重要視されてきています。

それにもかかわらず、「情報をクローズで流す」「情報共有は紙」「電話で連絡させる」「報連相を徹底させる」といった「ピラミッド型組織」と「アナログなコミュニケーション」を前提にしたマネジメントスタイルを押し付けられたら、世代間ギャップがますます広がってしまいます。

③精神論が通用しない

中堅世代には、かつての、「一度社会に入ったら、障害尽くす」という働き方に異を唱える人は、あまりいませんでした。「会社は辞めない」という前提があるために、「石の上にも3年」「ノルマを達成せよ」といった精神論がまかり通っていました。

そこには、「かつてのロールモデル」が大きく関係しています。理想的な働き方といえば、「いい大学に入って、給料が高くて安定した会社に就職して、定年まで勤めあげ、退職金で余生を過ごす」というものでした。

しかし、生まれたときから不景気で、必ずしも「会社を辞めなければ食いっぱぐれない」とは思えない今の若手世代にとって、そのロールモデルは存在しません。「この会社で我慢して居続けても仕方ない」「こっちの会社のほうが魅力的だ」と見切りをつけます。「石の上にも三年」という精神論が通用しないのも当然です。

また、転職が一般的になり、検索すればさまざまな仕事の情報や転職のノウハウが手に入るようになった今、無理に絶えず自分に合った会社を探したほうが合理的です。

心が動くポイントの変化

1990年代の前後のバブル期はトレンディドラマに憧れ、いい服を着て、いい車に乗って、いい家に住む。それを実現するにはお金が必要で、そのために「頑張って稼ぐ」というのが、仕事をする上での、1つのモチベーションでした。

しかしこれまでのロールモデルが喪失した今、若手世代にとっては「心が動くポイント」が「お金」や「モノ」ではなくなってきています。日本能率協会マネジメントセンターが実施した、『イマドキ若手社員の仕事に対する意識調査2020』によれば、新入社員(Z世代)の働く価値観は「自分らしい生活を送る」(18.3%)、「仕事環境の心地よさ」(17.3%)、「お金を多く稼ぎよい生活を送る」(14.3%)です。「お金が最優先事項ではない」ことは明らかです。

また「お金」や「モノ」よりも、「共感」が人を動かす原動力となってきています。こういった価値観の変化を後押ししているのは、SNSの存在も影響しているものと考えられます。自分が投稿して「いいね!」をもらう。あるいは他人の投稿に「いいね!」を送る。この「いいね!」文化は、人々に対して「共感」を身近なものにしたのです。

そして、近年では「多様性を認めよう」との社会的コンセンサスが広まっています。「自分の価値観を自由に表現すると、それに共感した人から「いいね!が集まる。このような「共感の輪」が、若い世代の価値観の変化へと繋がっているのです。

まとめ

このように大きな社会の変化から仕事に対する目的・解釈は全く違うモノとなりました。自分の常識や価値観を当てはめ、同じ「解釈」を求めてしまう。それがコミュニケーションギャップ」を生んでいます。「相手は、自分とは違う」ことを前提にすることが大事です。コミュニケーションギャップを縮める具体的な手段として「傾聴スキル」を磨くことは有用な手段です。「傾聴スキル」については下記のブログで紹介していますので、ぜひ読んでみてください。
https://www.beat.co.jp/action/blog/573

メルマガ登録

新しいブログ記事を中心にさまざまな情報をお送りしております。
よろしければメルマガ登録もお願いいたします。

* indicates required