パワハラ対策は万全ですか?ハラスメント対策と誰もが知っておくべき大切なこと。
2022年4月から中小企業も含めて「労働施策総合推進法(通称:パワハラ防止法)」が完全義務化されました。職場におけるパワーハラスメント防止のために講ずべき措置は、大きく分けると次の4つです。
①事業主の方針の明確化とその周知・啓発(就業規則等、文書に規定)
②相談体制の整備(窓口設置と周知)
③相談があったときの迅速かつ適切な対応
④相談者・行為者のプライバシーの保護と不利益な取り扱いの禁止
職場のハラスメントに対する実態
厚生労働省が2020年に調査した「職場のハラスメントに関する実態調査」では、過去3年間にハラスメントを受けた経験についてパワハラが31.4%、セクハラが10.2%、顧客等からの著しい迷惑行為が15.0%となっています。
受けたパワハラの内容としては「精神的な攻撃」49.4%の割合が最も多く、次いで「過大な要求」33.3%という結果です。
都道府県総合労働局へは2020年に約8万件の相談が寄せられ、「職場におけるいじめ、嫌がらせ」が相談内容のトップです。ハラスメントによる強いストレスから精神障害を発症し労災認定されるケースも増え、自殺に追い込まれた人も少なくありません。
ハラスメント行為を受けた後の行動として相談窓口よりも同僚や上司の割合の方が高い結果となっています。
パワハラを知った後の勤務先の対応については「特に何もしなかった」47.1%と約半数の企業がパワハラに対して何の策も講じていないことが調査から判明しました。
このようなことから、中小企業においてもパワハラ防止策として、ハラスメント防止規定の取り決め、従業員へのハラスメント防止研修などの予防対策、ハラスメント相談窓口の設置が義務化されました。
ハラスメント対応体制の準備
ハラスメント担当者は最初に相談を聞くだけでなく、今後どういう流れで進み、どれくらい時間がかかりそうかを相談者や行為者に伝えることもあります。そのため、ハラスメント相談は全体的にどのような流れで進むのかを理解しておきましょう。
相談担当者としての心構え
相談者は誰にも相談できず悩んだ末、覚悟をもって相談に来られる人、ハラスメントを受けているストレスからメンタル不調になっている人、ハラスメントかどうか疑わしい内容などさまざまです。相談担当者からすると、また同じような事案かと思うことであっても、相談者は1人ひとり違い、それぞれが真剣です。
ハラスメント相談は最初の対応が肝心です。決して生半可な気持ちでは対応できません。
事前準備のポイント
ハラスメントの相談を受けることが決まったら、プライバシーが守られる場所の確保が必要です。会社の会議室で欄間が開いているタイプや、ガラス張りで外から誰が会議室に入っているか見えるタイプもあるので注意が必要です。
また、勤務時間内の相談は、上司や同僚にどこに行っているのか詮索されバレたくない、まわりに知られたくないと思う相談者もいます。時間帯と場所には配慮が必要です。
オンラインツールの普及によりオンラインで相談を行うこともあります。
オンライン相談対応を実施する場合は、「プライバシー保護」には十分に配慮が必要です。ビデオチャットだと接続リンクさえ送れば、誰でもアクセスできる可能性があります。時間になって入室したら家族の方がいた、同僚が同席していたということも考えられます。反対に、入ったら相談担当者が2名いたため身構えてしまうこともあるでしょう。事前に面談時の状況をしっかり打ち合わせておく必要があります。
また、対面での相談対応と違い相談者の顔色や様子などを察することが難しくなります。オンライン面談のときは担当者として見逃す情報があることを意識し、言葉で確認するようにしてください。
相談対応時に大切なこと
ハラスメント対応は最初が肝心です。相談者に不信感や失望感を与えるような対応だと、問題はこじれるばかりです。面談開始時は①「温かみのある一言で話しやすい雰囲気」を作りましょう。②「相談により不利益が生じない」ことを伝えてあげてください。③「内容を開示する場合は本人の了解を得る」ようにしましょう。
話しの聴き方(傾聴スキル)
話を聴くぐらい、誰でもできると思っている方も多いかと思いますが、自分では意外と気づけていない聴き方のクセもあります。話を聴く場面なのに、聞き終わってみたら大半は自分が話していた、ということもあります。基本となる話しの聴き方をお伝えしますので、日ごろの聞き方をふりかえっていただければと思います。
まとめ
ハラスメントは当事者間だけの問題ではなく、まわりにも大きな影響のある問題です。職場の雰囲気の悪化や人材の流出、賠償問題や企業のイメージダウンなど、さまざまなリスクが潜んでいます。ハラスメント防止対策をしっかりと講じると共に、相談を受けた場合の心構えや行動について社員教育や啓蒙活動を行うことも重要でしょう。また、なるべく相談しやすい環境を整えることも大事です。
プライバシー保護に最適なチャットツールについての紹介記事もありますのでご確認ください。
https://www.beat.co.jp/action/blog/600
ハラスメント対応と心構えについて動画でも紹介しています。こちらもぜひご視聴ください。
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