社内表彰制度のメリットは?従業員のモチベーションアップと承認欲求について解説
企業の生産性と従業員のモチベーションは密接な関係にあると言われています。過去にはボーナスや役職ポストを目標にモチベーションを高めていた時代もありましたが、今は時代も変わり、魅力的な目標ではなくなってきました。
では、どうすれば個々のモチベーションを高め、生産性を高めることができるのか。効果的な手段として社内表彰制度が挙げられます。
表彰に対して無関心を装う社員も、本心では受賞の有無を非常に気にしています。表彰制度は、給与アップや待遇改善よりも、前向きなヤル気を引き出す力を秘めているのです。
しかし残念なことに、そうした“表彰の力"が十分に活用されていません。マンネリ化し、制度は存在するものの休眠状態になっているケースもあるのではないでしょうか。
当記事では表彰制度の意義とメリットについて解説させていただきます。
マズローの欲求5段階説
マズローの欲求5段階説は、人間は自己実現に向かって絶えず成長するという仮説をもとに作られた、人間の基本的欲求を5段階にピラミッドで表した心理学理論です。
生理的欲求
生理的欲求とは、「生きていくために必要な基本的な欲求」のことです。
人間の本能である「食欲」「睡眠欲」などが当てはまり、これらの活動が満たされなければ生命維持が不可能になります。
安全の欲求
安全の欲求とは、「健康かつ経済的にも安定した暮らしをしたい欲求」です。
生理的欲求がある程度満たされると、この欲求が現れます。
第一段階・第二段階は、物質的な満足を得たいという欲求です。
社会的欲求
社会的欲求は、「家族や会社など社会集団に所属して満足感を得たいという欲求」です。
第三段階からは精神的な満足を得ようとする欲求に変わっています。
承認欲求
承認欲求は、「他者から尊敬されたい、認められたい欲求」です。
この承認の欲求が満たされると、自分は世の中で役に立つ存在だという感情が湧いてきます。
逆に満たされないと、焦燥感や劣等感、無力感などの感情が現れてきます。
自己実現欲求
自己実現欲求は、「自分らしく生きていきたいという欲求」のことです。
どれだけ下位の欲求が満たされても、人は自分に適していることをしていない限り新しい不満が出てきます。
理想の自己イメージと一致していることを指します。
働く動機の変化
これまで企業が従業員を動機づけるために用いていた中心は給与でした。
高い給与を得ている人は能力や実績があるとみなされ承認欲求が満たれるし、職種によっては給与の額が達成や自己実現のシンボルになる場合もあります。
しかし、給与によって直接満たすことができる欲求は、生理的欲求や安全の欲求のような衣食住にかかわる欲求です。
給与があがればよりよい住宅に住み、おいしいものを食べ、すきな衣類を身にまとうことができます。
だから高度成長期あたりまではよりよい生活を求め、より高い給与に動機づけられてきました。ですが、わが国をはじめ先進国では、経済的に豊かになり、衣食住にかかわる主要な欲求はほぼ満たされた状態です。いくら良い製品をつくっても、おいしい食品を供給してもなかなか売れない時代です。給与で直接みたされない上位の欲求ヘシフトしてしまったのです。
ただし、給与がどうでもよくなったわけではありません。給与は不足していたり不公平だったりしたときは不満をもたらす要因なのです。
そのことを考えると、特別に高い給与を提供するとか、成果主義を導入することによって従業員の「やる気」を引き出そうとしても、限界があることがわかります。自発的なモチベーションはより高次な欲求に向かって動機となる要因によって引き出さなければならないのです。
承認は「やる気」の源泉
仕事中に”やる気がでたのはどんなときか”と考えると「お客様に感謝されたとき」、「仕事ぶりを上司にほめられたとき」、「周りから一人前扱いされるようになったとき」といった、承認欲求に関する体験やエピソードを思い返す人も多いのではないでしょうか
マズローの欲求階層説によると承認は自己現実より下位の欲求ですが、日本人は承認が自己実現の手段になることが多い。周囲の人との人間関係を重視し、他人の目をとおして自分を評価するとともに、人間関係の中で態度や行動を決めていく傾向が強いからです。
人間にとって何をするにも自信が大切であり、それを表す概念として「自己効力感」や「有能感」、「自尊感情」などがあります。
これらのうち自己効力感は、自分の環境を効果的に支配できているという感覚を意味します。そして、この自己効力感を得るためにアメリカでは能力の高さを示す外的な成功があればよいのに対し、わが国では単に達成するだけでなく、それが社会的に承認されなければないといわれています。
また、現代人はSNSの普及により承認欲求が高まっているといわれます。SNSが普及することで誰でも手軽に社会に対して情報を発信できるようになりました。それと同時に、投稿に対してイイネがほしい、リツイートされたいといった感情が承認欲求の高まりに拍車をかけたことは間違いないでしょう。
表彰制度がもたらす効果
表彰制度は第一に従業員のやる気、モチベーションに効果をもたらします。すでに述べたように、人間には承認欲求、すなわち周りから認められたという欲求があり、表彰されるとそれがストレートに満たされます。しかも表彰という形で公式に認められることで、自分の能力に対する自信がつくのです。
とりわけ日本人は周囲との関係の中で満たされる傾向が強いので、表彰され周囲から認められたと実感したら、他人の前で堂々と発言できるようになるとか、周囲への発言力が増すといった人間関係上の好影響が表れます。
他にも、チームや営業所、部といった集団を対象にすることもできます。みんなで賞をめざせば自ずと職場の士気が上がるし、受賞すればさらに仲間同士の結束が強まり、チームワークもよくなります。
上司が部下の隠れた努力や貢献を発掘し、表彰しようとすると、上司の関心や視線は自ずと部下の態度や行動のポジティブな側面に注がれます。それは部下にも伝わるでしょう。
上司が自分の良いところ、隠れた努力や貢献を見つけようとしてくれていると思えば、部下の側も上司に対して好意的にります。このような相互作用によって、 上司と部下との人間関係が良好になっていくのです。
表彰制度については動画でも紹介していますのでぜひご確認いただければと思います。
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